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Last Update 2007-06-16T01:26:01 GMT+09:00
桜より美しいもの
李 淑 ( 中 国 )
「おはようございます!私は和歌山大学経済学部で勉強している李淑と申します。日本に着いて1ヶ月しか経っていませんが一度しかないスピーチコンテストだから日本語力をアピールしようと思ってこの場に立ちました。」
懐かしいです。これは私が日本に来たばかりの時したスピーチの前書です。今日は最後のスピーチで大事な皆さんに私の気持を伝えようとしてこの場に立ちました。
あっという間に帰国することになりました。日本に来たのが昨日のようなのに…
私は今も覚えています、飛行機から見た日本を…山に山が重なっていました。その山の谷間を建物が川のように流れていました。かわいい国だなあと思いました。今もこのイメージ通りです。でも帰りの飛行機から見る日本はたぶん皆さんの笑顔が山のように重なって映りそうです。
桜の季節に花びらが散っている下を散歩するのが小さい頃の私の夢でした。

私の学校には色んな木がありました。中でも私は一つの木が大好きでした。春になると自分の身を真っ白に飾る木がありました。なぜか分からないですが私にとってこの木は特別な存在でした。暑い時私に陰を与え、雨の時私に傘になって中学校の三年間を伴ってくれました。いつかこの木の下にいる私に日本語の先生がこのように教えてくれました。
「李さんこの木が好き?この木は桜で、日本のシンボルの花ですよ。日本語が上手になるといつか日本に行って大好きな美しい桜の花を見る事ができます。そして桜の花びらが散っているその下を散歩することもできますよ。その時、あなたの人生も美しい桜のように立派な人生になるでしょう。」その時、先生の話は私の胸に根を下ろしました。「私はきっと日本に行って桜を見る。」小さくて美しい夢でした。
今、私は日本に来ました。夢にみた桜を見にきました。が、私が来たタイミングが間違っていて残念ながら桜を見ずに帰ります。

「半年だけで短いですね!もっと長かったら良かったのに…」とよく言われます。でも短い時間でも日本に来られて良かった。私はいつもこんな気持を持って日本での一日一日を大切にしてきました。皆さんのおかげでいい経験をたくさん持って帰ります。
私は今も覚えています。最初の日、何もなくてがらんとした部屋で私を迎えてくれた真っ白い布団を見た瞬間の感動を。ふわふわして柔らしい手触りがまるで母が優しく撫でるようでした。暖かさが心まで伝わってきました。不案内の外国でもそんなに怖くはありませんでした。つまらないことかもしれませんが私にとっては大切なものでした。私の日本での生活の始まりでした。いいスタートでした。
どこに行っても私は優しさと思いやり、励みを感じることができました。
辞書を開いて見れば「思いやり」を「同情心」だと説明してあるのですが、私は「他人のために尽くす心」だと解訳した方がいいと思います。
韓国の有名な作家金素雲は日本に来た時の印象をこういうふうに書きました。「雨が降っている暗い夜、水浸しの小道を泥水で汚れないように足を運んでいた。急に周りが明るくなって来た。前から提灯をもった女性が歩いてきた。あの女性がこの小道を通り抜ける前に抜けようと思い、足を早めた。不思議な事に私が完全に抜けるまでずっと明るかったので後を見るとその女性が、私が通るまで立ったままこちらの方を照らしていた。」勝手につけた翻訳なので皆さんに伝わるかどうか分かりませんが、この文章に描かれた事は日本人の「思いやり精神」を表す典型的な例だと思います。半世紀前の日本女性の小さな行為に見られたこの思いやりが今日、日本社会で変わらず咲いています。
日本に来て私は桜より美しいものを見つけました。世界、世界って、「世」の中に「界」があるという意味ですね!
私は日本でその「界」を消す知恵を見つけました。つまり「ボランティア精神」です。
私が布団から感じた暖かさのように人の心を暖めるもの、何も求めなくて与えるもの、みんな一緒に力と心を集めて頑張るもの、今度、津波のための募金で私はしみじみ感じました。
大事なお正月の間なのに家族や友達と楽しまず、ひどい寒さに負けず皆さん必死に頑張りました。寒くても、風が冷たくても、私達の心は暖かでした。言葉では描けない微妙なものがその時私達の心の間でつながりました。そのときの感動、一生忘れません。
一番直接にボランティアの恵みを受けているのが私達留学生ですね。いつも優しいお母さん、お父さんになって私達の生活を考えてくれて本当にありがとうございます。1年間、半年間の付合いを通じて国境を超えて、心と心がつながる「相思相愛の一家人」になりました。これこそボランティア精神の本意ではないでしょうか。国境を超えて、民族を問わずに心と心がつながるボランティア精神…私はいつも、日本に来て本当に良かったと思います。
学校で知識を勉強すると同時に生活の中で日本人の知恵を習っています。日本に来て私が今から必ずやらないと行けないことを見つけました。私が受けた大きな「愛」を中国の人々にも伝えたい。「無償の愛を…」私は中国に帰って、つまり中国と日本の架け橋となって、中国と日本の交流、そして人と人の心をつなげるボランティア活動に自ら積極的に取り組みたいと思います。
中国の先生は桜の大好きな私に「あなたの人生も桜のように立派に美しくなるでしょう。」といってくれました。その言葉を胸に中国に帰っても前向きに頑張っていきたいと思います。
Posted in 2005年
