リセットできぬ思い出

裘 少 華(中 国)
日本での毎日には常に新しい出来事がある。ついに、二ヶ月前から準備してきた和大祭の幕が開いた。
 夏休みが始まる前から、和大のキャンパスのあちこちに大学祭の看板が置かれていた。「模擬店を出そう」などのスローガンが書かれていたから、初めて見た時、大学祭というのは一体何なのか分からなくて、日本人の友達に聞くと、友達はびっくりした顔つきで「えぇ、中国の大学には大学祭なんかないの?そしたら、その時になってから、自分で答えを探そう。面白いよ。」と私に言った。その時から、私は一日も早く和大祭が始まることを待ち望んでいた。その間、留学生たちが「世界料理店」を出すということを知り、好奇心はますます強くなった。
 暫くしてから、本番の日が訪れた。朝早く、他の留学生たちと一緒に、WINコンコードのメンバーの車に乗って、学校に向かった。作った料理がよく売れるかどうか心配だったので、商売策略を相談した。あっという間に学校に着いた。普段と違って、交通秩序を保つ大学祭実行委員会のメンバーの姿があった。それに、慣れていた学習の雰囲気と違って、キャンパスもおしゃれに飾られていた。地面に貼ってある可愛い足跡の絵が私たちを会場に案内した。
 大学会館の右側の空き地にゲスト「太陽族」ライブのための舞台が設置されていた。日頃よくベンチに腰かけて本を読んでいる姿が見える細道に沿って、学生たちが心を込めて飾りつけたさまざまな店が並んでいた。たこ焼き、豚汁、せんべいなど、いろいろな食べ物が販売されていた。扱っている食べ物によって、店の飾りも違っていた。しかし、どのような飾りにも、学生たちの工夫が見られた。留学生たちが出した「世界料理店」は一番目立つと思った。各国から来た留学生が自分の国の料理を作って、民族衣装を着て、一緒に一つの店を出すのは、面白くて珍しかった。だからこそ、世界料理店の商売は盛んで、大成功だった。もちろん、作った料理が美味しいゆえに人気が高かったのは言うまでもないが。システム工学部の前の広場はフリーマーケットの溜まり場になっていた。普段使わないものや使ったが捨てるのが惜しいものや買ってから使ったことがないものがその場に登場していた。出店した人は学生だけではなく一般の市民の方々もいた。和歌山大学文化部連合会所属団体からたくさんのクラブも参加し、楽しいパフォーマンスを繰り広げ、和大祭に花を添えた。
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 「和~NAGOMI~」をテーマとしての和大祭を経験した私は、日本の大学祭と言えば、学生、職員、地域の方々の触れ合いの場と感じた。模擬店を出すことやクラブのパフォーマンスを披露することは皆で協力して行うことだ。それにより、さまざまな行事がスムーズに進んでいく中で、学生の交流ができて、仲良くなり、クラブがひとつになる。地域住民の参加によって、地域との交流もできる。大学生にとって、大学祭は社会に入る前のいい経験だと思う。それと共に、中国で経験した大学祭のことを知らず知らずのうちに、思い出していた。
 中国の大学でも大学祭のような行事がある。「外国語週」や「電影週」や「科学技術週」や「社団文化週」(社団というのは学校の中のクラブということである)などさまざまな学生による活動がある。しかし、日本の大学祭のようにいろんな分野にわたって活動を展開するのと違って、中国における大学祭は分野ごとにプログラムを作る。一つのプログラムには一年中の違う時に一週間費やされる。例えば、「外国語週」の期間中は、英語のスピーチコンテストや英語の演劇の公演や英語の論文のコンテストとかある。「電影週」の時には今一番話題になっている映画の紹介や放映などがある。「科学技術週」はハイテクに関することが得意な学生たちの舞台だ。ホームページを作るコンテストやソフトウェアの設計コンテストなどが行われる。また、現在の科学分野で最も新しい技術や知識を紹介したりする。「社団文化週」は各社団が普段一杯練習したパフォーマンスを披露する時期だ。歌や踊りや演劇やバンドの演奏やスポーツの競争などがある。フリーマーケットもある。
ところが、これらの行事は殆ど学生向けだ。つまり、参加できる人は学生に限っている。地域との交流といえば、キャンパスの主な道で出した地元の企業や店のポスターや広告板だと思う。行事が行われる時、学校から一部の経費をもらえるが、それだけのお金はやはり足りない。経費を集めるために、活動を主催する学生組織のメンバーは地元の企業や店を訪ねて、スポンサーを探す。お金をくれたスポンサーを宣伝するためにポスターや広告板を出す。一般の市民は大学のキャンパスに入って、学生の成果を見るのはめったにない。学生と地域との交流は日本の大学祭と比べたら、まだ物足りないなと感じた。だが、中国の大学生にとって、これらの行事もいい訓練だ。学生生活は多彩になり、実行する能力を養うことができて、充実した学生生活になる。 
 私は幸運に恵まれた人だと思う。交換留学生として来日し、二つのタイプの大学祭が体験できた。中国の大学祭を何回も経験したが、今回の和大祭は日本での始めての大学祭だった。和大祭は一年に一回しかないそうだ。しかも、毎年、テーマや趣向も違う。だから、今回の和大祭で作られた思い出や感動はリセットできず、ずっと記憶に残る貴重な経験だ。

Posted in 2005年

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