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Last Update 2007-06-16T01:26:01 GMT+09:00
和歌山県の国際化の現状
前和歌山県国際交流協会専務理事 出口勝美
2年前に和歌山県国際交流協会(WIXAS)で仕事をすることとなった。およそ20年前に国際交流の仕事に携わったことがある。10年一昔と言いますが、二昔前のことを思い起こしました。
国際交流とは、ヒト、モノ、カネ、情報の国境を越えた双方向の流れをいい、国際化とはその結果です。そういった認識で和歌山県の国際化の現状を10年、20年という時間軸で見てみますと、大きく変わった面と、殆ど変わっていない面の両極端に気づきます。また地域単位で見てみますと国際化の進展度合いはまちまちでバラツキがあり、まだら模様の現状です。
我が国の社会はこの20年で国際化が大きく進展しました。例えばヒトの交流といった分野をみますと、日本人の海外への出国者数は3.5倍、外国人の日本への入国数は3倍、外国人登録者数も2.5倍を数えるに至っております。和歌山県も例外ではありません。ほぼ同様に進化しています。
とりわけ外国人留学生の受け入れ状況をみますと隔世の感を禁じ得ません。20年前は高野山大学で2名前後の留学生を数えるのみでしたが、今日では和歌山県全体で170名強の留学生を数えるに至っております。
また、企業の海外進出についても1社のみで現在のように約40社が26カ国、75地域へ海外進出するなどとは率直にいって当時は夢想だに出来ませんでした。将来予測の難しさを嘆く以前に将来を展望するイマジネーションのなんと貧困だったことかを今改めて思い起こし、浅学非才を悔いると共に内心忸怩たる思いで一杯です。
他方、本当に変わっていないなと思えることがいくつかあります。
過日、不本意ながら川柳に挑戦した。「今も尚 専ら欧化が 国際化」 その時の作品の一つです。あまり変わっていないなと思える一つに大多数の県民の皆様方の国際交流に向けての意識の問題があるように思えます。未だ国際化とはアメリカ化或いは西洋化といった意識が支配的であるように思えてなりません。
日本の近代化(=国際化)の当初のモデルはヨーロッパ諸国でした。太平洋戦争終了後はアメリカの社会が理想のモデルであり、ひたすらそれを追及して少なくとも経済的には豊かな社会を実現して参りました。私達の意識の中に先進国アメリカのイメージがあり、国際化とはアメリカ化という考えが自然に醸成されてきたと言えます。今も尚、依然としてアメリカ化、西洋化が国際化という呪縛から逃れられていないと思っているのは私だけでしょうか。
和歌山県の外国人登録者数約7,100人(平成15年)を国籍別に見ますと、韓国・朝鮮の方が約3,500人、中国の方が1,300人、フィリピンの方が約900人、タイの方が約400人、ブラジルの方が約200人、米国の方が190人といった順位となっています。
和歌山県の留学生受け入れ数173名(平成16年)の国籍別順位は中国121名、マレーシア、台湾それぞれ8名、韓国6名、タイ4名、スリランカ3名となっています。
和歌山県の海外進出企業の進出先75地域(平成14年)の順位は中国29、香港7、アメリカ5、台湾、韓国、インドネシアがそれぞれ3となっています。
また、和歌山県への外国人宿泊観光客が平成16年はこれまでの約6万人から11万人と急増しましたが、その内の約83%が台湾、韓国、中国、香港からの観光客となっています。
このようなアジア諸国との国際交流が非常に活発になってきているという和歌山県の国際化の現状をみますと、和歌山県における国際化への取り組みや対応が中国・韓国を始めとするアジア諸国に重点をおかざるを得ない切実な課題や必要性を痛感させられます。にも拘らず現在の国際化に向けての取り組みの現状は依然として欧米中心といって過言ではありません。冷静にそして素直に、現実を見据えて国際化の目線を欧米だけでなくアジア諸国にシフトしていく必要があります。
そもそも国際交流の目的は?国際化の意識とはどういうことなのでしょうか?このことについて論ぜられる経験や知見の蓄積もありませんが、次の四点については理解が得られるのではないかと考えます。
一点目は、国際化には、「共存」と「競争」という相矛盾する両面が含まれているということです。多文化共生社会の実現、異文化理解の推進といった取り組みは非常に重要で、国際社会の一員として「共存」に向けての相互理解を推進していくことが基本ですが、国際化には同時に冷厳な事実として国境を越えたグローバルな「競争」といった面もあることを見過ごしてはならないと思います。国際化の持つ「共存」と「競争」の両面をしっかりと見据えた「国際理解教育」が望まれます。
因みに今WIXASでは、重点的取り組みの一つとして「国際理解教育」の推進が行われております。国の補助も仰ぎながら昨年四月から当面三ヵ年の予定でスタートしました。このプロジェクトの推進主体は県内NGO、NPOの皆様方で、学校現場を始め多くの関係者や県内外の関係機関、有識者さらには在住外国人との連携を図りながら、自主的に自由に進められております。WIXAS自身もそのメンバーの一員という立場で、今流行の「協働事業(コラボレーション)」の実践です。豊富で確かな経験と知見に裏付けられた意見や主張が率直に真剣に交わされております。
ところで、蛇足ながら、国際協力に向けての取り組みは理屈ぬきにより一層推進すべきです。強者が弱者をを応援し庇護するのは人類普遍の原理です。この取り組みをおざなりにする事は諸外国からの尊敬や信頼を失う事につながります。和歌山県における国際協力の取り組みがあまり活発でないことを憂慮します。
和歌山県では今44の国際交流団体がありますが、これは他県と比べると率直に言ってその数も規模も非常に少なく且つ小さいと言えます。国際協力活動を主目的とする団体に限定しますとさらにさびしい限りです。
また、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊の和歌山県からの海外派遣者数は今、144名ですが、これは全都道府県中最下位という現状です。
二点目は国際化に向けては国レベル(政府各省庁、国際協力機構、国際交流基金、国際協力銀行等)、地域レベル(地方自治体、地域国際協会、等)、個人レベル(NGO、NPO、企業、ボランティア等)の取り組みがあり、それぞれに多様な独自の目的を達成する為に基本的には自立性と主体性を持っているということです。20年前と比べて個人レベルの国際交流活動が非常に活発になってきたと実感しました。国際化の担い手は結局のところ個人です。国際化の進展に伴ってその認識や自覚が高まり、自然な成り行きとして数多くのそして多様な国際交流活動が推進されていると考えます。
和歌山県における個人レベルの国際交流活動が少々孤立的、閉鎖的に見えるのは気になります。 個々の推進主体は、勿論自主的にそれぞれが独自に熱意をもって取り組まれているのですが、同時にお互いに連携し合いより大きな力を発揮し効果を高める努力も必要と考えます。また、国レベル、地域レベルの助成、補助等の支援を仰いでいくことも必要です。
三点目は、国際化とは中立的なものであるということです。国際化を推進することが直ちに単純に発展、繁栄につながるわけでは決してありません。国際社会の中でも珍しい単一の言語、民族、宗教という同質性の高いしかも島国、日本からすれば国際化はむしろ負の側面が多いのかもしれません。国際化の持つ或いはもたらす「光」と「影」の両面をしっかりと見据えた対応が必要です。
問題なのは概して地域レベルの取り組みには国際化に向けての明確な戦略性、具体的な方向性が希薄であるということです。和歌山県の国際化に向けての取り組みを海図無き航海といえば言い過ぎでしょうか?どこへ向かおうとしているのでしょうか?かつては関西国際空港のインパクトを踏まえた壮大で魅力的な国際化戦略がありますたが、日本経済のバブルの崩壊と共に水泡に帰してしまいました。爾来、国際化ビジョンを持ちえぬまま今日に至っているというのが現状です。大きな課題が残されたままとなっています。
四点目は、国際化への対応は不可避であるということです。和歌山県だけが孤立し閉鎖的に自立していくなどということは不可能ですし、またそういったことを県民は決して望んでいるとは考えられません。そうであるならば、積極的に国際化への取り組みを推進し、和歌山県の発展、活性化を図って行かなければなりません。それぞれの地域が目指す国際化のビジョンづくりが不可欠です。
同時に、地域の発展や活性化の土台となる内外に開かれた和歌山県づくりが重要です。この和歌山県の国際化基盤の整備が本当に不十分です。ハード、ソフト両面にわたって未だしといえます。20年前に比べて変わっていないなと思えることの一つです。
わが国の在住外国人登録者数は現在約185万人強、総人口1.45パーセントに対して和歌山県全体では約7千人、県人口比0.7パーセントということで、全国の半分程度の状況といえますが、在住外国人への支援サービスについては大きく立ち遅れているといって過言ではありません。和歌山県で外国人が安心して快適に暮らしそして地域に魅力を感じていただけるための対応が求められています。
WIXASでは一昨年より外国人の生活相談業務の充実を図る為「専門家による一日相談会」が試験的に実施されています。行政をはじめ関係機関や通訳を含め数多くの専門家、さらにはNGO,NPO関係者との連携による外国人支援サービスの仕組みづくりが漸く始まったばかりです。医療支援、災害時の対応といった大きなテーマがあると考えています。
県内各地域で国際交流活動に携わっている皆方への報告です。
Posted in 2005年
